初めてのゲスト  /起業当初5話

初めてのゲスト

その後、20時頃にゲストさんが無事に到着されたようで、

「無事に着いたよ」と連絡がきました。

「ありがとう」

などと少しのやり取りをし

「楽しい旅行にしてね」

とお伝えしました。

明日もまた何かメッセージを入れてみようかな。

などと楽しみになりました。

会食が終わり、二次会に向かっている途中です。

なぜか鬼のように携帯がなるのです。

時間は深夜0時。

非通知。

その時いたお店は賑やかなお店であったため、

電話を取って話すのも一苦労で、相手が言っていることもよく聞こえませんでした。

(非通知?だれ?)

「誰ですか?」

「何ですか?」

と何度も聞くものの相手が何を言っているのかよくわかりません。

(Airbnbに電話番号を登録したせいで、電話番号が流出したのかも。迷惑電話かな。)

また電話がなりました。

その時、ピーンときたのです。

(あ、もしかしてゲスト??)

(やばい、なんかあったのかも。)

一瞬にして酔いが覚め、

賑やかな店を出て、

店の外からゲストに電話をしました。

でも、かかってきている番号は非通知だったので、

ゲストかもというのは単なる勘ですし、

もしゲストじゃなかったら深夜に電話を鳴らしてしまい申し訳ないな、

と思ったりでワンコールしかできませんでした。

折り返しを待つものの、

ゲストから折り返しの電話はなく、

(勘が外れたのかな)と思って店に戻りました。

店に戻り、少し飲んでから帰宅しました。

その後

 

すると、

家に着いた途端。

深夜2時。

また電話が鳴ったのです。

先ほどと同じ、非通知

すぐさま電話をとりました。

すると・・・それはやはりゲストからでした

聞いていると、どうやら、お湯が出ないということを言っています。

その瞬間全てが理解できました。

「うわー、やってしまった・・・」

そうです。

ガスの契約をするのを忘れていたのです。

部屋のセッティングは完璧にしたのですが、

ライフラインの契約をしなければいけないのが頭から抜けていました。

電気や水道も同じく一式忘れていたのですが、

おそらく、

電気や水道は前の入居者が解約してからも

しばらくの間供給され続けているためストップはされていないのですが、

ガスは元栓を閉める関係なのかストップされてしまうのです。

(やばい・・・・。どうしよう。)

 

 

このままではゲストはお風呂に入れません。

(どうしよう・・・。どうにかしなければ。)

東京ガスに電話をするも深夜は対応時間外。

どうすることもできません。

やばい・・・・

(うちの家に来てもらうか?

でも遠すぎるのでこの時間から

ここまできて風呂に入ってまた新宿に戻ったら朝になってしまうな・・・・)

一つ案が閃きました。

「私がお金を払うから近くで空いている銭湯に行ってもらえる?」

ゲストにそれを提案し、

その傍ら、もう一つの携帯で新宿の銭湯に片っ端からまだ今開いているか電話。

最寄りの銭湯に当たってみるものの、時間も遅いのでどこもすでに閉まっています。

やっとのことで空いている店を見つけるも、電話してみるとタトゥーお断り。

外国人はファッションでタトゥーをしている人も多いのです。

(これ以上遅くなるとさらにどこも閉まっていく一方だな・・・)

 

時間は深夜2時半。もう策はない。

 

「申し訳ないけど明日ガスを通せるようにするから

今夜は風呂を我慢してくれないかな。

お詫びに今日の一泊分の代金は全額返金するよ」

とゲストに提案。承諾を得る。

ごく普通の1日であれば、

お湯だけが原因でタダで宿泊できた、

と聞けばもしかするとラッキーに聞こえるかもしれない。

だが、相手は現在海外旅行中。

明日も朝から周りたいところがいっぱい。

スケジュールをぎっしりと詰めて、

たった3泊しかないうちの1日なのだ。

時間や体調こそが命。本当に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

そのまま一晩が過ぎ、

翌日ガス等の開通をしたあと、

物件に向かい、

ゲストが外出中で不在の部屋の中に入って、

業者を呼んでガス等の開通を済ませたあと、

昨日の返金分の宿泊費と共に謝罪の手書きメッセージを、

テーブルの上に置いておきました。

(こういうことは二度とないように気をつけないと。)

反省しながら家に帰ったのでした。

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